滅びの美学

2012年10月27日 演劇
BS12のタカラヅカドリーミングシアターで06年星組、
″ネオ・ダンディズム″
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/06/star_tokyo_aisuru/index.html
をやっていた。
この枠ひさしぶりに観た。
いつのまに、金曜夜から土曜昼に移動しておったのか・・・。

演出を担当した岡田敬二先生は日本のレビュー界の第一人者だそうだ
(ウィキペディアより)。ロマンチックレビューシリーズと言う
一連のシリーズにこだわりがあり、ネオ・ダンディズムも含まれるらしい。
ロマンチックレビューがなんなのかは良く分からないけど、独特の美学を
持っていることは、観ていてすごく伝わってきた。

作品の中で印象的に出てきた″ダンディズム″とは
滅びの美学、みたいなテーマ性がすごく気になった。
滅びの美学もけっきょく良く分からないけど、笑、
とてもうつくしい。

滅びの美学って、けっきょくは逆説的に命を燃やして
生きるということでもあり、生命力が引き立つことなんだ
と、思う。たぶん。

昔読んだギャンブルを描いた漫画で、
男は子供を産まないから命を感じることが
出来ない、だからギャンブルとかそういう
ことでスリルを感じて、命を危険にさらして
命を感じるしかない、みたいな感じの
ことが書いてあって、

それも滅びの美学に近いかなーと思った。

深いなー。

とても難易度の高い男の美学( ̄ω ̄;)

海外ミュージカルの潤色専門のような小池修一郎氏も、
オリジナル作品においては滅びの美学がテーマ、みたいなことに
こだわっている、というようなことを言っていて、

宝塚はそういうテーマを表現するのがふさわしいところでもあるんだ
ろうなあ。

わたしもそういう部分にとても惹かれるから観劇するのだと思う。

ネオ・ダンディズムを最後に退団した主演の湖月わたるさんと
白羽ゆりさんのコンビが凄くハマって居た。

白羽ゆりさんと言う娘役さんがめちゃくちゃ好きだ・・・。
華やか、どころの騒ぎじゃないぐらい華があって圧倒される。

中詰めのラテンナンバー″キャリオカ″で総踊り、のシーンは
ありえないぐらい迫力あった。
無駄に熱いけど暑苦しくは無くて、ザ・星組の
伝統、を感じた。

かっこよかった。

9月16日の日記

2012年9月16日 演劇
観劇?と言うか鑑賞?してきた・・・。
ロックミュージカル「ヘドウィグ&アングリーインチ」
http://www.hedwig2012.jp/
原作の映画が冷戦中のベルリンで生まれ→アメリカへ自由を求め逃避行?みたいな設定だったのが、今回の作品では3.11地震以降に原発の影響で立ち入り禁止区域内に出来た無法地帯で生まれ育ったアウトサイダーであるヘドウィグ、と言う設定で驚いた・・・。でもそんなに違和感無かった。歌もすべて日本語詞だったけど自然だった(スガシカオが担当したらしい)。

森山未來のことをあんまり良く知らなくて、ダンサーだと聞いていたので、
歌えない人だったらどうしようと思って不安だったけど、めちゃくちゃ歌えて、尾崎豊的ロック歌唱が出来る人だった・・・・。
役者・表現者として凄い力量ある人だと思った。今後も注目したい。ヘドウィグを現代の日本におけるアウトサイダー、のような設定にして、ただのオカマじゃない、普遍的な存在に作って居たのはすばらしい。ヘドウィグは元は男である、と言う特殊な悲しさと儚さがものすごくよく表現出来て居たと思う。

ヘドウィグの旦那?役の後藤まりこさんは、せっかくなのに彼女の本領発揮、ぽいシーンは後半のごく一部だけで、それ以外のシーンはなんとなくオマケ、
みたいな・・・しどころの無い役どころに見えて、残念だった。もっと使い方があったのでは・・・。

バックバンドは知らない人ばっかりだけど、すごく上手かった。

LIVEのような芝居のような・・・あまり観たことが無い形態だったけど、役者を選ぶ形態だろうなーと思った。歌ったりセリフを言ったり、メリハリあるように見えるけど、実際そうでもなくて、歌と芝居が切り替わることで観る側の集中力が途切れやすく、主演がよっぽど存在感あるキャラじゃないとしんどいよなあ。森山氏はよくがんばってた。


http://kageki.hankyu.co.jp/ginga/

銀河英雄伝説@TAKARAZUKA
初日観劇行って来た。

ただ圧倒されて、ぽかーんと惹きこまれて居た。

壮大な話過ぎて、私の理解が及ばないところも

あったと思うけど、作品の力と言うか、もはや

原作者の意図とか演出とかを超えて、ひたすら

キャラクターやストーリーや、色々な思いが

どんどん一人歩きして独自の世界が広がっている、

ドカンとパワーある不思議な作品でした。

戦闘シーンは映像やレザー光線みたいなw照明や

群舞で絶妙に表現されており、

なにより主要キャラクターを演じるスターさんたち

が超絶ビジュアル過ぎて(平均身長172~ぐらい?)

やばすぎる。

中でも、新トップスターの凰稀かなめさんが

マントを翻して走ったり歩いたりするだけで

それだけで空気が変わる。

幕間にロビーで休んでたら、隣に居たグループが

「なんであんなにかっこええんやろう」

ってみんなで絶句してた。あの人はホンマになんなんやろうw

原作が好きな皆様~( ̄  ̄)ノぜひぜひ観たほうが

ええですよ。うん。おすすめ!

細部は色々ダメだしあると思うけど、圧倒的な何かがある

から、観れば分かると思う。


壮大

2012年7月16日 演劇 コメント (2)
銀河英雄伝説と言う作品をただいまチェック中( ..)φ秋にヅカ化されるのをみにいく予定…。今までに自分のアンテナにかすりもしなかったから、自分には難しいけど、だからこそ興味ありつつ、壮大すぎやしないか……と思う。ひらたく言うと宇宙スケールの軍事モノと理解したけど、設定の緻密さがあるいみめっちゃ男性向け過ぎる(笑)。超絶スタイル長身メンバー揃う宙組で上演されるからかなり見た目は期待出来る…。ポスターもめっちゃかっこええ…。でもお芝居、として楽しめるか謎…。河村隆一主演の舞台化は成功したらしいけどね…。色々な小説あるんだなぁと思ったよ今回…。

夢と言う現実

2012年6月13日 演劇
宝くじの抽選中継に来月退団する大空祐飛様御出演と言うことで
携帯のワンセグで見た…

司会者に「入団してからトップスターになるまで色々な経緯があったと
思いますが、トップスターになるまで続けてこられた原動力は?」って
質問されて「夢を持ち続けることです!」だかそういう風に答えてた。

今後この人の舞台人としての紆余曲折や、衣装のお直しは数ミリ単位
でこだわると言う着こなしに代表される徹底した男役芸へのこだわり、
そして色々な哲学はプロジェクトエックス的な番組にすべきだ…そして
あまり興味無いであろう働きざかりの男性陣にこそ知って欲しい、ぐらい
の勢いだ…

大空氏の語る「夢」はある意味あんまりヅカぽくなくて、
たぶん「現実」と相違無いニュアンスの「夢」のような
気がする…淡々と、目の前の現実と向き合い、遠くにある
夢と日々の積み重ねを紐づける、作業の繰り返し、そんな
気がする…

夢、と言う、なんとなくぼんやりつかみどころが無さそうに
思えるようなものにも、何か確実な仕組みとか、あるのかなと一般人も
ふと思えるような、厳しい世界ではあると思うけど飄々と楽しんで居る
ようにも見せる事も出来る、

夢と現実の間を行き交う人間味のある妖精だった。そのバランスが秀逸だった!

良い香りと余韻を残して次の世界へ羽ばたいて欲しいと思います☆

長い春の果てに

2012年5月27日 演劇
花組全国ツアー公演@梅田芸術劇場メインホール…
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/275/index.shtml

良かった。

青年医師と病気の少女のほのかな純愛ロマンス的なほっこり
ロマンチックな感じを想像してたけど

それ以上に凄い深い…

ほろ苦い感じがする
それでいて心あたたまる。

ほろ苦さって言うのは、死とか、現実とか、
挫折とか、命の儚さ、とか一歩を踏み出す
小さな勇気とか、別れとか、再会とか。

主人公やその周りは
医者とか弁護士とか、
まあ色々恵まれてるけど
なにか足りなかったりうじうじ
してる人らで、

病気の少女の破天荒な
振る舞いがやがて
周囲を変えて行くって言う
ありそうなストーリーだけど、

乗馬の場面とかは上流階級の暮らしの
象徴だし、

貧しく苦労して医者になったゆえに
金に汚いライバル医師が出て来て、
「命は金で買える、命の値段は
平等じゃない」って言い続けることで
上流階級の人々と対比される人々の存在も
太いテーマとして浮かび上がらせている。

ただライバル医師が少女と同じような
治療困難な病気となる展開のご都合主義
はなんなのか(笑)。それって絶対に
必要なのだろうか。そのへんは、まー
フィクションなので(あたりまえやけど)
スルーしつつたのしめば吉。

原作はフランス映画で、
原題は「世界で一番好きな人」。
あ、コレ観たい。

梅芸メインホール初めて足を踏み入れたけど、
円形のカーブがキツ過ぎて、下手端の3階席
だったため、姿勢的に妙な体制にならないと
よく見えなかったり…アイタタ…。


大江山花伝

2012年4月21日 演劇
2009年宙組博多座公演舞台映像を観る……。

大江山花伝。

美しくて儚い。

時は平安時代?

大江山に棲み、都に悪さをしにくる
茨木童子は、酒呑童子と都の姫の間に生まれた
鬼と人間の合いの子で、鬼の一族の跡継ぎとして
しもべを率いて都に現れては暴れて居た。

源頼光と言う時の権力者の信任厚い渡辺綱は鬼退治を命じられて
大江山に入り、以前から因縁の間柄だった茨木童子と、敵対しながら
も奇妙な友情をはぐくんで行く。

鬼と人間の対比。

人間の方がむしろ鬼で、

鬼の方が人間らしく描かれるのが妙に面白くてリアルだ。

美しくて儚くてリアル。

よくわからないけど、能や狂言のような世界観の作品のようだ(知識が
無いのでわかりませぬ)。

茨木と、かつては良家の姫で今は身分を隠し渡辺綱の家で召使をしている
ワケありの女性藤の葉(かつての名は藤子)の儚くて激しい愛。

茨木は人間である母親によって、一度鬼の世界を断たれ、人間として
育てられた時期があった。藤の葉はその頃の幼馴染で将来を誓った
筒井筒の仲。

せっかく再会したのに、二人はお互いに、相手に対して
正面切れない背景を持つ身になって居た。

渡辺綱と共に大江山に入り捕えられた藤の葉の
望みは、大江山で死ぬこと。それが叶うなら本望だと。

もはや人間の世界の縁を捨て、ただの鬼になってしまった
茨木に、藤の葉は「あなたこそ誰よりも人間らしい」と
伝える。

その気持ちは茨木に届いたのだろうか、茨木は、救われたのだろうか。




…とけて儚き うす紫の 夢の狭間にたゆたいて
あとに残るは風ばかり 風ばかり♪ 『うす紫の恋』

↑主題歌(らしい


茨木と藤子(藤の葉)の幼い頃の思い出の情景は、藤の花とともにあって、
そもそも藤子の家族が藤の花が好きな一族だったと言うことだ…。

ストーリーは、ただ鬼退治にまつわるあれこれをふくらませた感じなのかなあと
(正直)言う印象なのに、ただただ全ての出来事が藤の花のうす紫のオーラに包まれて、美しい。

鬼ってどういう人たち(人じゃないか・・・)なのだろう。この話の中では、
鬼=山に棲む妖術を使う魔性の者、として描かれている。

もうすぐ藤の花の季節…だったと思う。もはや藤の花のイメージ=儚くて
妖しいうすむらさき…のイメージだ…。大江山花伝おそるべし。原作も
読みたい…。
http://www.hedwig2012.jp/
森山くん主演で。
注目っっっと。

復活

2012年3月17日 演劇
-恋が終わり、愛が残った- ←サブタイ

初の東京宝塚劇場で観劇、の作品@3月上旬

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/258/index.shtml

さいきんロシア文学の凄さに驚愕する事が多く、

この作品もトルストイの作品だと言うことで

期待、でも暗過ぎて重すぎて救われなかったら

どうしようと思ってたけど、意外にテンポも

良くて、最後はささやかに救いのある終わり方だった。

素晴らしいセリフがたくさんあった。愛についての

深遠な……。″愛を受け取ったら誰かに受け渡さないといけ

ないのです″とか。″(ネフリュードフ様の)魂をお救い出来

るのが私では無い事に泣いているのです″(だっけ?)とか

……もはやうろ覚えだからル・サンク買ったらセリフ

載ってるかなー。載ってる場合と載って無い場合がある

んだっけ。どちらにしても全部は載って無いのかなー。

ハッキリ言って主人公ネフリュードフ公爵おぼっちゃま

は捨てた元恋人(元使用人)のカチューシャを助けようと償

おうとしてウザいキャラなんやけど、ここまで誰かを思える

って凄いとさえ思うキャラだった。本人が勘違いしている

だけで、もしかしたらその感情は愛では無いのかもしれ

ないけども、本人が納得したいだけだろう良い人ぶり

やがってと思わないでも無いような行動ばっかりなんだ

けど、でもそれだけじゃないような気がするような、

と思えるんだよな。誰もがそうなんだろうけど、同情

や償いだけで動けるほど人間は器用では無いだろうと

思った。……かと言って、それが愛であるとは正面

切っては言えない部分があるんだけど。でも愛だ。

人を救うことで救われたいことが愛かもしれない。

そしてネフリュードフがカチューシャを救おうと

本気度マックスで行動するごとに友人らをはじめ

色々な人を巻き込んで行き、ネフリュードフの熱意

が周囲に伝わって、なんとも言えない変化が起きたり

みんなの状況や感情が変わって行くのが伝わってきた。

叔母さんに頼まれてネフリュードフを誘惑?したけど

″ミイラ取りがミイラになった″、クララとか、

ネフリュードフの活動を傍らでずっと支え見守って

いた友人シェンボックが、恋人の踊り子アニエスと

結婚するつもりは無かったところから結婚に至った

背景もネフリュードフの行動の強い影響があった

ように見受けられた。ネフリュードフ≒ハリケーン

か台風みたいな人だな。感情が渦を巻いて行動に

移すと、何かが変わって行く。でもけしてそれは

前向きな幸せなベクトルばかりでは無いんだけど。

まあ基本的に過去の恋愛とかは美化されるからな。

取り戻したいみたいな感情もあっただろうし。

そんなに大事なら捨てるなほっとくな、と、勝手だな、

つうのはおもくそ女性目線なので置いとくけど……。

そんな微妙なテーマをロシア文学で描くとこんなスケールデ

カくなるのかーと。そしてタカラヅカで上演されると

こんなにも洗練されるのかと(あ、花組だからかな)。

ロシア文学のスケール感はシベリアが出てくるからかなー。

蘭寿とむ&蘭乃はな の蘭蘭コンビは期待してた以上に

ええコンビ♪ちょいヘタレ感あるええひと貴族がハマってた

蘭寿さん、セリフ噛まなくなって音を外さず歌えるように

なった蘭乃さん(てかブタイジンとして基本だろwww)、

お似合いだった。

18日千秋楽おめでとうございます。



の魅せ方…といふものに最近惹かれる。
とても。

http://www.youtube.com/watch?v=R6n_lptjkbE
このダンスシーン。モノトーンおよび洗練だ。
ダンスの花組黄金期を率いた故・大浦みずきさんを
軸にしたシーン。
 宙組バウホール公演…。

 http://kageki.hankyu.co.jp/revue/262/index.shtml
 ☆あらすじなど…

 プログラムを読んでいたら、演出担当の原田諒氏
の言葉が載って居て、震災後の今の日本の状況と、
キャパの生きた時代背景を重ね合わせて居る事が
書いてあった。宝塚にしては硬派と言うか、社会派
過ぎるとも言えるテーマや背景で、これまでにもそ
のような方向性の作品はあったのかもしれないし、
 同じ時代背景の作品(Never Say Goodbye、
誰がために鐘は鳴る)が近年同じ宙組で上演され
ており、出演者や観客も慣れて…と言うか違和感は
少ないかもしれないけど、新しい挑戦と言う面もきっ
とあったと思うので、このような題材を取り上げ、公
演を作り上げた関係者の皆さんに敬意を表したい。

 凰稀かなめ氏はクールに見えて実は温かい、
飄々として見える持ち味が、戦場カメラマンの役
に合っていて素晴らしかった。

 全体の印象としてはやはりヅカ的濃さはあまり無いと
思う。ヅカ独特の洗練された華やかさは抑制されてい
て、ミュージカル場面も少なく感じるし。一幕は割とミュ
ージカル仕立てだが、スペイン内戦を中心に描いてい
た二幕はミュージカルぽく無い…けど二幕の方が内容が
濃くて見応えある(クライマックスに向かうのだから
見応えあるのは当たり前か…)。有名な「スペインの
崩れ落ちる兵士」の被写体である兵士が登場人物
として出てきて、この人がとても良い役で、演じる鳳
樹いち氏の男気溢れる演技が最高で、役柄の格
としてはキャパの幼馴染チーキ役の春風弥里氏と
同じ戦場カメラマンとして一緒に活動するアンリ役
の蓮水ゆうや氏がダブル二番手、と言う感じだが、
鳳樹いち氏がカゲの2番手か?ぐらいかなり印象強く
印象に残る。死をもってキャパに勇気を与える役だ
……。

 わたしが無知過ぎて、スペイン内戦のことは全然
知らなかったけど…この戦争が20世紀の世界の出
来事の中で、かなり重大で重要な事件なのだと、
だんだん理解しつつある…。スペイン内戦について
、もう少し知りたいと、知らないといけないような、気
がしてる。ヘミングウェイの本や、ロバートキャパの
伝記など、ストーリー性のある本を読んで当時のス
ペインの状況について調べてみたい。

 一番心に残ったセリフ、それは「誰にでもシャッター
チャンスはある」。シャッターチャンスを逃してはいけ
ない。カメラマンにとってはそれが一番重要な事。
誰にでも…と言う言葉は、極端な表現ではあるけど、
シャッターチャンス≒ここぞと言う機会を逃さぬよう、
と言うことだと思う。どの人にも言えることだ。

 作品を通して色々な形で語られるのは、平和への
願い。キャパが一番撮りたいと願った写真は、世界
中から戦争が無くなった日の、人々の笑顔。世界
中の戦争が無くなる日、それはロバート・キャパが
失業する日。その日を目指して写真を撮り続けた
…。自分の役割を、徹底して、全うした人だったん
だな、と思う。そして、人が好き。当時としては斬
新であった、小型カメラであるライカを使用して、
被写体に極限まで近付いた。近付かないと撮れ
ないから。

 愛した人も居た。仕事上のパートナーでもあった
女性ゲルダ・タロー。この役を演じた新進ヒロイン系
娘役、伶美うらら嬢、知的なキャリア女性が良く似合
う。ひとつひとつの動きや仕草、佇まいが美しい人。
バリバリだけど、女性としてのかわいらしさもある、
居そうで居ない素敵な女性を好演していた。

 ただ……キャパとゲルダの関係性において、仕事
上の強い結びつきは物凄く説得力があったから、
人と人、男と女として、愛し合う、と言う点でも……
もう一歩深くなると良いなと思う。魂の記録、と言う
タイトルなので、魂で愛すると言う事も含まれていて
欲しい願望by観客(笑)。 私が観た感じだと、最初に
出会った時のまま、2人の仲はそれほど深まって
居なかったのか……?!と言う風に思ってしまう。
最初に出会った時は、ゲルダの方が仕事上の立場
は上(VOGUE誌のファッションジャーナリスト?)
で、キャパは駆け出しに毛の生えたようなあまり
名が売れていないカメラマンだった。でも最後の方
ではキャパの方が名実ともにゲルダを圧倒してた
はず……なのに、キャパが最後までゲルダにどこか
遠慮してよそよそしいような、ゲルダも貴方を尊敬
して愛していると言いながら、何か自分の余計な
プライドいまだに捨てられないような、距離感が
微妙にあったように思う。男の方の包容力が足り
無いのか、女の方が三歩下がれていないのかw、
それとも根本的に役者どうしの相性の問題なのか、
わたしには分からないけど……。

 この場面良い!と思ったのは、崩れ落ちる兵士の
写真が捏造説、が流れた時に、ピカソが「この写真
は真実に違いない。わたしの絵(ゲルニカ)と訴え
たい表現はまったく同じだから」と訴えるところ。
 このピカソがところどころ出てくることで、社会派
になり過ぎない、良いバランスを保っている。ほっ
こりさせつつシリアスに演じた風莉じん氏巧い。
ピカソの愛人役の愛花ちさき嬢も好きだー。コミ
カルだけど品がある感じが、素敵。

 わたしの好きなシーンは、フィナーレ?のスパニッ
シュダンス!スペインもののダンス大好き!
 @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @

 ほんとに何も知らなくて申し訳ないのですが、キャパが
亡くなったのは第二次世界大戦が終わって10年ほど
経った頃だったんですね。あと、20世紀最高の写真家
と言われてるそうです。あまり関係無い話ですが、
今はデジカメなどもあって誰でも簡単に写真が撮れる
時代になりました。今回キャパの半生に触れ、写真を
撮る事≒人と人の交流、時に時代と向かい合う作業
なのだな、と感じました。写真はカメラさえあれば誰に
でも撮れるからこそ、写真を撮る意味について少しだけ
、ほんの少しだけ考えてみようかなと思いました。

 そして、シャッターチャンスを逃さない(写真に
限らずここぞと言う機会を逃さない)、と言うことは
忘れないように心に留めたいと思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120120-00000127-san-ent
↑1月後半はロバート・キャパの半生を描いた作品を観に行くのだ。

ロバート・キャパのことはうわっつらしか知らない。

凄いリアルな写真撮る人だなあと。

スペイン内戦の事も私はぜんぜん知らなくて、
誰がために鐘は鳴る、を観て、スペインにはそんな
こともあったんだ…と。

ocean’s eleven

2011年12月12日 演劇
星組公演…。

http://kageki.hankyu.co.jp/oceans11/

大劇場では明日千秋楽…。

あのハリウッド映画を世界で初めて舞台化by小池修一郎氏。

はじまってすぐ、な、なんかしらんがつまんなそう

(ラスベガスってバブリーな舞台設定で

カジノの舞台装置などが一瞬陳腐なほう

に転んで見えた)、と思ったけど

物語が進むごとにぐぐっと来る系か…。

映像を使ったり、細かい演出や小道具が凄い。

…なので良く観てないと展開見逃す…かも。

舞台上で一輪車に乗ってる人が居るシーンがあったり、

なんやそら?って言うのもある…。

バブリー派手なんだけど結構テーマは

王道系なんだよなあ…。

そして今回の作品は、トップコンビの柚希礼音氏、

夢咲ねね嬢、あと涼紫央氏、の3人が凄く目立ってる

し、輝いてるし、この3人の力量に依るところが大きい

のだと思った…。+紅ゆずる氏ぐらいかなぁ。

ぱっとしてるのが…。

オーシャンズ11って、11人の主要

キャラ?が居るはず?なのに、実は皆あまり目立ってない

気がする。1人1人のスターさんはそれぞれ

キャラが立ってるはずが、この作品ではあまり生かされず

…と見えるところが残念かな。なんでやろな。

ダニーとテスのすれ違い愛情物語?は

結構泣ける…。アダムとイブに例えた歌詞

も素敵と思う。

元ネタの映画のほうは知らないけど、

この舞台作品に関しては、スキルある

一味の金庫破り物語、のほうに関しては

もひとつ…パっとしなくて、

失った愛を取り戻す話、として観れば

凄く素敵だ。

カジノのフインキも…きっと映画だと

ゴージャスバブリーで良い感じだと

思うけど、舞台装置で再現…となると

がんばっとるけど限界あるよなーっと…。

今回好きだったのが、

ルビー・サファイア・エメラルドって言う

ラスヴェガスのゴージャスな歌手3人衆。

この3人のお歌がストーリーの説明にも

なっていて、歌上手い人らが活躍していた。

演目

2011年9月24日 演劇
来月(つってももーすぐか)京都南座でやる十月大歌舞伎の公演…おぉ連獅子やる!観たい。あの毛をブンブン振り回す振りがたまりません。音楽のリズムも心地良い感じ。

カブキの演目は一体どれだけあるんだ…。

観たいランキング1位は″小笠原騒動″。仕掛けが凄いってか水撒くとかホンマ……?!

http://www.youtube.com/watch?v=YJjUwynuq3Y
シネマ歌舞伎の宣伝動画のやつ

アルジェの男

2011年8月19日 演劇
現在宝塚大劇場月組公演中。

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/correlation/j237.html←あらすじなどなど・・・

某社貸切公演券譲って頂き観劇☆(感謝!)

んーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

青春の…光と影モノですが、救われない系です。

まっすぐな野心のある男の、ほのかに差す成功
への光、そして過去と来たるべき未来を暗示する
重い暗い影…。

霧矢大夢氏はヅカ的見地からすると上手すぎる
タイプの人なんだろうなぁと思う。上手すぎて
あの独特な舞台だと密度が薄く観えなくも…無い
なぁ。そしてこういう野心あるワルい(悪くは
ない)男はちょっとキャラ違うんかも。

蒼乃夕妃嬢もかっこいい系女子が似合うタイプ
だから今回は尽くす女子と言うことで新境地?
なのか…?それにしてもセクシー衣装の場面で
のウェスト細さと腹筋に驚愕。

注目ポイントとしては、主人公に絡む3人の女性
に感情移入したりしてしまった。こんな女性居る
…と言うかどんな女性も今回の3つのタイプのキャラを
自分の中に全部持っていると思う。表に出る機会
や気付く機会があるかないかだと思う。尽くす糟糠の
妻的な女、お嬢様でツンデレな女、薄幸で高潔な美少女
な女?…。そしてそれぞれの愛の形…。なんか、妙に
考えさせられるような感じ。ドラマとかだと、どの女
が一番オイしいか、みたいになりそうなところが、
この作品だと、やっぱりそれぞれ魅力や持ち味が
際立っていて、三人の女性をフィルターとして描き
出す若者の野心とか愛とか、色々儚くて重いなあと
思う。

オープニングのスリリングな音楽で不良たちが踊る
場面はWEST SIDE STORYをなんとなく思い出した。
舞台版はしらないから、映画の方。

ほんでテンポや間が昭和だなぁと思ったら初演が鳳蘭
だった。

 ※ ※ ※ ※ ※

併演のショー″ダンスロマネスク″は

音楽の使い方の無茶ブリが半端無い。

アースウィンドアンドファイヤーから

ラテンにつなげて、さらにロックにつなげ

ながら踊る踊る・・・ひたすらテンションの高さ

で押しまくるだけ・・・なんやけどカモメのダンス

の場面がうつくしすぎてすばらしい。挫折と再生…

みたいなストーリー的なテーマ性があって、全員

白い衣装ですがすがしくて結構歴史に残る名場面

になりそうな予感。

MITSUKO

2011年8月8日 演劇
~愛は国境を越えて~。
@BSプレミアム。
日本人で初めての国際結婚をした
有名な明治の女性の話。ゲランの香水
ミツコ、はこの方の名前から
付けられたーと言う説も有名。

これ。こないだ、2カ月ほど前に
劇場でやってたとこで、もう放映
の太っ腹?!

観たかったやつなんやー♪
(宝塚の演目チケットとMITSUKOの
チケット、ダブル観劇セット券のキャンペーン
やってて迷ってた…が一日に2つ観るのが体力
てきにガクブル過ぎてやめといたにゃぁ…w)

本編も素晴らしいが、本編後の主演の安蘭けいさん
と演出の小池修一郎氏の~公演を振り返って~
の対談がかなり見物だと思う。

小池センセは、うまいと思う。色々なけっこう
重めのテーマ(MITSUKOだと、国際結婚
、人種差別、親子断絶、家族崩壊、
帝国主義とかナチスとかハプスブルグ
家終焉とかの歴史的出来事、汎ヨーロッパ
と言う欧州連合EUの考え方のもとになった
思想など)

を複数絡めながら、複雑になりすぎて破綻…
すること無く、時代背景や物語の設定にかんして
前提知識が無い人でもたのしめる作品となっている
と思う。

そして、底を流れるテーマは
″明治の女の一代記″だと思う。
とくに後半の晩年のMITSUKOとか
それを強く感じる。″わたくしは明治の
女ですから・・・″と言うようなセリフも
ある。小池先生も対談でおっしゃるように、
同じ演者で何度も演じて欲しい一代記である
と思う。森光子さんのように。

まだ日本人が海外に渡ることが珍しかった時代
の国際結婚で苦労した女性の話…にとどまらない
ところがいい!かなりいい!

小池修一郎による、
時代や運命に翻弄されつつ
懸命に自らの生き方を貫こう
とした人物の光と影、時代の
光と影も絡んだ骨太な明治の女の
物語。
小池修一郎による光と影の
描き方がかなり好きだ。
ルドルフ・ヴァレンチノの生涯
を描いた″ヴァレンチノ″(小池氏演出)も
栄光と挫折の光と影の描き方が好きだった。

ユダヤ人排斥に関しての研究をしている
MITSUKOの夫ハインリッヒの思想
と、それを受け継いだ二男リヒャルトの
汎ヨーロッパの思想も、愛は国境を越えて…
と言うテーマにぴったりと寄り添っている。
最初は、当時としては珍しい形の国際結婚を
した2人が、価値観や生活習慣や宗教観、
周囲の反対など数々のすれ違いや誤解などで
傷つけあうこともあるが愛を貫いてゆく…とか
そういう話なのかと思っていたけど、最後迄
観てると、むしろそうではない、そうではない
ような気がする…。″汝の隣人を愛せよ″、自分
とは違う他人を見ると不安に感じるのが人間だ
が、それでもそれを乗り越えて理解し合う努力
をなんとかせねばならない、そう言う内容の事を
ハインリッヒのセリフでも言わせているけど、
国際結婚と言うひとつの人間関係の類型と言うか
愛の形をモチーフとして、ひとりひとりの心の
中にある「他人との境」を越えて行こうする努力へ
の啓蒙だったり、勇気を与える為の話だったと
思う。

NHKオンデマンドで配信しますと言うテロップ
が出てたので、NHKのHPのどこかで観れるの
かな…。

人魚姫

2011年7月24日 演劇
BSプレミアム、バレエ『人魚姫』
子供向け童話のイメージが抜けきらず、
どういうふうに表現するんかなぁと
思ったけど斬新なアイデアの演出を
していて、まさに現代アートだと思った。
尾ひれ・うろこ感もうまく感じが出て居た
し、袴っぽい衣装で足をバタバタしたり
黒子(ほんとに黒子)の人がリフトする
ことで水の中のゆったりしたぶくぶく感
も出て居た。黒子や袴などはジャパニーズ
ノウ・キョウゲンのスタイルを参考にした
そうだ。GJ!

霧のミラノ

2011年6月25日 演劇
地デジーがきたーのでー、
BS色々、CS無料放送など
観るわたくし。

BS12トゥエルビって
やってるCMが
リッチ系資産運用とか
別荘ライフがなんとかとか、
めっちゃセレブ層向けっぽい
のはなぜ?車保険とか
ふつーぽいのもあるけど。

星奈優里さんが司会の
タカラヅカドリーミングシアターで
2005年雪組の霧のミラノを観る。
全体的に、暗い。トーンが暗い。
時代背景がそういう時代だから
なのか。わたしは時代の光と影が
好きなのであって影ばかりと
言うのはあまり好みでは無いが、
耽美的な世界と言うか、
世界観が、当時のスタークラスの
端正でうつくしい並びとマッチ
して統一感があって、綺麗な
作品だった。朝海ひかる、
水夏希、貴城けい、音月桂…
とくに貴城けいさんの、
若きエリート軍人と言った
フインキの、白軍服姿。
激動の時代、葛藤したりも
する人物像に、相反する形で
白い白い衣装が際立って、
めちゃくちゃ格好良すぎる。

BSプレミアムで
再放送と言うことで
放映されていた
【華麗なるミュージカル】
~ブロードウェイの100年~
2004年頃の放映だった
みたいですが、
市村正親さんナレーションで、
まさにブロードウェイの
100年間の変遷を、貴重映像や
ブロードウェイの重鎮たちの
インタビューで綴る、
見ごたえ有るドキュメンタリーで、
ドキュメンタリーと言えるものを
久しぶりに観た、と思った。
覚えきれないぐらい
書ききれないぐらい
発見と刺激があり、
なにより、
映画以上に時代を
反映し光と影を
うつしだす舞台と言うもの
に興味を惹かれずには
居られなかった。

フレッド・アステア
がナイトアンドデイの
曲で踊るデュエットダンスが
素晴らしい。渋すぎる。
ストーリーや登場人物
としてのキャラクターは
分からないけど、
男の美学、みたいなものが
滲み出るダンスと佇まい
だった。

ナイトアンドデイと言う曲は
スタンダードナンバーに
ありがちな、色んな人が
演奏やカヴァーをしている
曲ではあるけど、

このバージョンが素敵だと
思う。夏っぽい。
http://www.youtube.com/watch?v=pVFogkc8st0&feature=related
宝塚大劇場星組公演。

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/correlation/j220.html(ストーリーなど)

ビバ!サンバ!
軽快なのに深い。
ふしぎな作品。
芝居色の強いショーのストーリーを
楽しむのもよし、
ラテン音楽のリズムや激しいダンスを
堪能するもよし。
そこはかとなく作者が込めたメッセージ性みたいなものも
感じられる。
すべてが観る側にゆだねられている。

終わった後圧倒されて硬直したままだった。
ものすごいパワーと完成度にただ圧倒される。

親戚のオッサンが40年前の初演を観ていた。
「ノバボサノバはな、
鴨川と言う演出家はな、従来のタカラヅカに
無いセンスを持ちこんでやな・・・」
↑この言葉がすべてを語っていると思う。
なぜ「伝説のショー」と言われるか。
それはタカラヅカぽく無い要素を
タカラヅカに上手く融合させたから、かもしれない。

タカラヅカぽく無い要素とはアングラ感かな。
どこか猥雑で退廃的な・・・。
ビアンバー(男子禁制)とか出てくるし。

猥雑・退廃と
明るい太陽の下で踊るカーニバルの
大勢のカリオカ達と言う対比が
奇跡的なバランス。

主人公が義賊と言う設定は
貧富の差が激しい、厳しい
カリオカ達の状況、
世の中の矛盾を表している。
この作品の底にゆるりと
流れる基盤は、厳しい現実を
受け止めながら懸命に生き抜こう
とする地に足を着けた民衆の
パワーだ。名も無いカリオカ達が
カーニバルに熱狂する。世知辛い
現実をつかの間忘れ、エネルギーを
爆発させる。カーニバルには異国の
人達も見物に来たり参加したりする。
カーニバルでは身分も人種も国籍も
立場も性別も関係無い。その場所では
みんな同じ、一人の人間でしかない。

″世界中の男も女も

カルナバルのカリオカ♪″

このフレーズがとても印象に残りました。

初演の時は″世界中の男も女も″
が″くろん●も白も黄色も″とかだったらしく、

10数年前の再演時は″黒いのも白も黄色も″・・・
に変更され、今回は世界中の・・・になったらしい。

初演時のフレーズが一番作者の思いを伝えて
居るんじゃないかと思うけど、

今じゃピー入るよなー。

このフレーズには

ありのまま万歳!な思いを感じる。

金子みすずのみんな違ってみんないいじゃないけど、

自分とこの民族やカルチャーを大事にしつつ、

世界の他の人らも理解し、理解し合う。

理想ではあるけど。

そう言えば初演の1971年の前年は万博の年。

鴨川氏はリオのカーニバルと言う祭典を

万博と言うイベントに重ねたりはしたのだろうか。

芸術は爆発だ!と言って内なるエネルギー爆発礼賛の

岡本太郎がつくった太陽の塔の万博だ。

直接インスパイアされたわけでなくても、

間接的に影響したかもしれないいろんな

時代背景とか気になるけど、またの機会。

http://www.youtube.com/watch?v=IWedy1v4l0s&feature=related(約十年前の再演月組版・金麦の檀れいさん娘役トップとしてご出演)。








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