オリジナリティー
ラストタイクーン、フィッツジェラルドの遺作を舞台化した作品を観てきました。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/364/index.shtml
花組トップスター蘭寿とむさんの退団公演。

蘭寿さんらしい、熱くもウェット過ぎず、でも伝わってくるものがある
公演でした。

が、全体的に既視感があった。

1920年代もの、フィッツジェラルドものは
これまでもたくさん上演されていて、
インパクトが強いものが多いので、
たしかに似た印象を受けてしまう
こと自体はありえるし、仕方ない。

でも、自ら墓穴を掘りに行くと言うか、
"今から似たようなことやりますー"みたいな
ことがあまりにもわかりやすい表現をする必要
は無いと思う。

と、演出面で課題を感じた。

演出担当の生田氏は今回が大劇場デビューらしいので、
これから期待!丁寧にきっちりした感じは良いと思います。

残念なのはトップ娘役さん。この方はカネコネ居座りなどと
影で(ネットで)言われたり、男役至上主義のヅカスター界に
於いて5年目、3代に渡って娘役トップスターに在任しつづける
希有な方です。

蘭寿さんの最後なのに、いまいち観客の温度が低めに設定
されて居るのも、相手役の人が居残るんだよなぁ、と言う
みんなの内心の声を反映しているような気がする。

トップスターと相手役が同時に退団するべき、みたいな
暗黙の慣習は、昔からあったものじゃなく、ここ最近と
言うことだし、その流れに従うことは無い。

私は彼女のスター性や踊りや、あんまり安定してないけど
だいぶうまくなった優しい歌声、可憐な存在感を出せる演技力
はすばらしいと思うし、好きなんだ。

でも、彼女には彼女らしさがあまり無い。

舞台人としても、スターとしても、基礎力養成時期などと
言う時期はとっくに終えていて、自分自身の花を咲かせて
舞台上で、客席に向けて愛を振りまかなくてはいけない
立場であるのに、

5年も経とうとするのに、その方向性に向けた志をほとんど
感じないからだ。

入団の前から宝塚ファンで、宝塚に入りたいと思って
努力し、宝塚の娘役が好き、そして伝説の娘役と評される
人の大ファンと公言している。

このことは基礎力養成時期においては、伸びるための推進力
になると思う。

でも、もう、一旦そういうことは脇に置いたほうが良いと思う。

今の感じだと、伝説の☆☆さんをはじめとした、歴史上の
娘役スタイル寄せ集め像としての人になってしまうし、
それなら彼女じゃないといけない、と言う必要などまったく
無いから。もっと若くて綺麗でうまく、そのスタイル寄せ集め像
を完璧にこなせる人を持ってくればいいだけの話だ。

演出やプロデュース側、観客も、もしかして、彼女に伝説の
方や既視感のある娘役像を強く投影してしまっている可能性
もある。それもよくない。

もうここまで来てしまったら、やるしかないし、彼女だけの
責任でもない。

オリジナリティーをつくることは難しい。
既視感あるものを要求するのは自然な
ことだから。

でも面白くない。

なんのために生まれたのかわからなく
なってしまいそうだから。

みんなそうだ。

誰もがそうだ。


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