宙組バウホール公演…。

 http://kageki.hankyu.co.jp/revue/262/index.shtml
 ☆あらすじなど…

 プログラムを読んでいたら、演出担当の原田諒氏
の言葉が載って居て、震災後の今の日本の状況と、
キャパの生きた時代背景を重ね合わせて居る事が
書いてあった。宝塚にしては硬派と言うか、社会派
過ぎるとも言えるテーマや背景で、これまでにもそ
のような方向性の作品はあったのかもしれないし、
 同じ時代背景の作品(Never Say Goodbye、
誰がために鐘は鳴る)が近年同じ宙組で上演され
ており、出演者や観客も慣れて…と言うか違和感は
少ないかもしれないけど、新しい挑戦と言う面もきっ
とあったと思うので、このような題材を取り上げ、公
演を作り上げた関係者の皆さんに敬意を表したい。

 凰稀かなめ氏はクールに見えて実は温かい、
飄々として見える持ち味が、戦場カメラマンの役
に合っていて素晴らしかった。

 全体の印象としてはやはりヅカ的濃さはあまり無いと
思う。ヅカ独特の洗練された華やかさは抑制されてい
て、ミュージカル場面も少なく感じるし。一幕は割とミュ
ージカル仕立てだが、スペイン内戦を中心に描いてい
た二幕はミュージカルぽく無い…けど二幕の方が内容が
濃くて見応えある(クライマックスに向かうのだから
見応えあるのは当たり前か…)。有名な「スペインの
崩れ落ちる兵士」の被写体である兵士が登場人物
として出てきて、この人がとても良い役で、演じる鳳
樹いち氏の男気溢れる演技が最高で、役柄の格
としてはキャパの幼馴染チーキ役の春風弥里氏と
同じ戦場カメラマンとして一緒に活動するアンリ役
の蓮水ゆうや氏がダブル二番手、と言う感じだが、
鳳樹いち氏がカゲの2番手か?ぐらいかなり印象強く
印象に残る。死をもってキャパに勇気を与える役だ
……。

 わたしが無知過ぎて、スペイン内戦のことは全然
知らなかったけど…この戦争が20世紀の世界の出
来事の中で、かなり重大で重要な事件なのだと、
だんだん理解しつつある…。スペイン内戦について
、もう少し知りたいと、知らないといけないような、気
がしてる。ヘミングウェイの本や、ロバートキャパの
伝記など、ストーリー性のある本を読んで当時のス
ペインの状況について調べてみたい。

 一番心に残ったセリフ、それは「誰にでもシャッター
チャンスはある」。シャッターチャンスを逃してはいけ
ない。カメラマンにとってはそれが一番重要な事。
誰にでも…と言う言葉は、極端な表現ではあるけど、
シャッターチャンス≒ここぞと言う機会を逃さぬよう、
と言うことだと思う。どの人にも言えることだ。

 作品を通して色々な形で語られるのは、平和への
願い。キャパが一番撮りたいと願った写真は、世界
中から戦争が無くなった日の、人々の笑顔。世界
中の戦争が無くなる日、それはロバート・キャパが
失業する日。その日を目指して写真を撮り続けた
…。自分の役割を、徹底して、全うした人だったん
だな、と思う。そして、人が好き。当時としては斬
新であった、小型カメラであるライカを使用して、
被写体に極限まで近付いた。近付かないと撮れ
ないから。

 愛した人も居た。仕事上のパートナーでもあった
女性ゲルダ・タロー。この役を演じた新進ヒロイン系
娘役、伶美うらら嬢、知的なキャリア女性が良く似合
う。ひとつひとつの動きや仕草、佇まいが美しい人。
バリバリだけど、女性としてのかわいらしさもある、
居そうで居ない素敵な女性を好演していた。

 ただ……キャパとゲルダの関係性において、仕事
上の強い結びつきは物凄く説得力があったから、
人と人、男と女として、愛し合う、と言う点でも……
もう一歩深くなると良いなと思う。魂の記録、と言う
タイトルなので、魂で愛すると言う事も含まれていて
欲しい願望by観客(笑)。 私が観た感じだと、最初に
出会った時のまま、2人の仲はそれほど深まって
居なかったのか……?!と言う風に思ってしまう。
最初に出会った時は、ゲルダの方が仕事上の立場
は上(VOGUE誌のファッションジャーナリスト?)
で、キャパは駆け出しに毛の生えたようなあまり
名が売れていないカメラマンだった。でも最後の方
ではキャパの方が名実ともにゲルダを圧倒してた
はず……なのに、キャパが最後までゲルダにどこか
遠慮してよそよそしいような、ゲルダも貴方を尊敬
して愛していると言いながら、何か自分の余計な
プライドいまだに捨てられないような、距離感が
微妙にあったように思う。男の方の包容力が足り
無いのか、女の方が三歩下がれていないのかw、
それとも根本的に役者どうしの相性の問題なのか、
わたしには分からないけど……。

 この場面良い!と思ったのは、崩れ落ちる兵士の
写真が捏造説、が流れた時に、ピカソが「この写真
は真実に違いない。わたしの絵(ゲルニカ)と訴え
たい表現はまったく同じだから」と訴えるところ。
 このピカソがところどころ出てくることで、社会派
になり過ぎない、良いバランスを保っている。ほっ
こりさせつつシリアスに演じた風莉じん氏巧い。
ピカソの愛人役の愛花ちさき嬢も好きだー。コミ
カルだけど品がある感じが、素敵。

 わたしの好きなシーンは、フィナーレ?のスパニッ
シュダンス!スペインもののダンス大好き!
 @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @ @

 ほんとに何も知らなくて申し訳ないのですが、キャパが
亡くなったのは第二次世界大戦が終わって10年ほど
経った頃だったんですね。あと、20世紀最高の写真家
と言われてるそうです。あまり関係無い話ですが、
今はデジカメなどもあって誰でも簡単に写真が撮れる
時代になりました。今回キャパの半生に触れ、写真を
撮る事≒人と人の交流、時に時代と向かい合う作業
なのだな、と感じました。写真はカメラさえあれば誰に
でも撮れるからこそ、写真を撮る意味について少しだけ
、ほんの少しだけ考えてみようかなと思いました。

 そして、シャッターチャンスを逃さない(写真に
限らずここぞと言う機会を逃さない)、と言うことは
忘れないように心に留めたいと思います。

コメント

北林孝介
2012年1月28日9:18

おはようございます。

宝塚歌劇を鑑賞されたんですね。

スペイン内戦のような複雑な時代背景を歌劇で描くのは大変難しいと思うのですが、redeye-yanさんの受けられた感動を読んで舞台芸術の持つ力を感じました。

華やかさに印象のある宝塚歌劇ですが、深遠なテーマで魅せる奥深さもあるのですね。


写真は身近に触れられる自己表現です。

題材は身の回りにいっぱいありますし、楽しい時、つらい時、心が躍る時や優しい気持ちになる時など、赴くままにただ『撮る』ことに集中 すると写真がその時の自分を写す鏡のように思えてきます。

いまく言えなくてすみません。

redeye-yan
2012年1月30日19:39

ちわ!
今回の公演は本当に
良い意味で宝塚らしく無かったけど
そこが良かったかも・・・・・・。

自分を写す鏡かー。
そういう風に思ったことは無かったです!

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